yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「第25回木月孚行能の会」@観世能楽堂3月18日

ちょっと「方針」を変え、見た能楽公演一覧詳細はアップすることにした。能を集中的に身始めて一年半、良かったと思ったもののみのレヴューを書いてきた。でもピンとこなかったものを省いていては、「記録」の意味がなくなる。あくまでも個人の評なので、独断のコメントも容赦して(無視して)いただけるだろう

東京での能楽公演は国立能楽堂、宝生能楽堂、喜多能楽堂のものを見てきているが、銀座に移転した観世能楽堂の公演を見るのは初めて。もっとも松濤にあったときのものは見ていない。なにしろ「能歴」が浅いもので。この日の観世能楽堂公演のプログラムは以下。

★舞囃子 「屋島」 木月章行
    笛 一噌隆之 小鼓 幸正昭 大鼓 亀井広忠
★舞囃子 「須磨源氏」 木月宣行
    笛 一噌隆之 小鼓 幸清次郎 大鼓 亀井広忠 太鼓 小寺真佐人
★狂言 「伯母ヶ酒」
    山本則俊 若松隆
★仕舞 「淡路」 観世芳伸 
★仕舞 「杜若」 キリ 角寛二朗
★仕舞 「隅田川」 野村四郎
★仕舞 「船橋」 山階彌右衛門
★一調 「三井寺」 観世清和 大鼓 亀井忠雄
★能 『西行桜 比多杖之伝』 木月孚行 森常好 山本則重
   笛 一噌庸二 小鼓 観世新九郎 大鼓 亀井忠雄 太鼓 小寺佐七

全体としてはかなりがっかり。これは東京で見た他の能楽公演にもいえる。感動したことはあまりない。なにか、「仕事としてやっています」感がつきまとう。まるでサラリーマンがその日の仕事をこなしている感じ。だから大抵は、「東京までやってきて見るだけのことはなかった」と、失望して帰る。これは狂言にもいえる。関西の人間なので、「気取った」風が鼻についてしまう。芸がそれを超えていれば「納得!」となるのだけれど、そんなことは一度もなかった。だから「京都観世の能」と「京都茂山(大蔵流)の狂言」に収斂してしまう。

この日、最も良かったのは観世宗家観世清和師の一調「三井寺」。先日見たNHK再放送の玉三郎を撮った「伝心」で、宗家所縁の山本順之師の『三井寺』の一部を見たばかりなので余計に心に響いたのかも。

狂言は今まで見てきた中で最悪(失礼!)。検索すると東京の大蔵流ということらしいのだけど、京都の大蔵流とはまるで違った。あの発声、一体なんなんでしょうか?奇妙な抑揚。京都では聞いたことがない。

木月孚行師シテの能『西行桜』はそこそこ面白かった。足元はかなり覚束なかったものの、謡はさすがだった。小鼓の観世新九郎師、大鼓の亀井忠雄師が予想通り良かった。

「木月孚行能の会」というだけあって、社中の方々が駆けつけておられるよう。観世会館もほぼ満員。木月孚行師という方のお人柄もしのばれた。

銀座能楽堂は初めて。松坂屋跡だったんですね、「GINZA SIX」っていうビルは。ここ、高級ブランドのオンパレード。新しいコンセプトのリテールショップが連なっている。その地下3階。他のフロアとは随分と毛色の異なった場と雰囲気を醸し出していた。一般的な他の能楽堂より客席の奥行きがあるので、後ろの方は見難いかも。傾斜も緩やかなので、前の人の頭が若干邪魔になる。客席の構造がもっとも近いのは(今まで行った中では)京都の金剛能楽堂。