yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『菅原伝授手習鑑 (すがわらでんじゅてならいかがみ)』in 第27回上方歌舞伎会[国立文楽劇場歌舞伎俳優既成者研修発表会]第一部@国立文楽劇場8月24日

初めて上方歌舞伎会を見た。研修生が日頃の研鑽結果を披露するもの。以下、チラシ。


長〜い『菅原伝授手習鑑』、それを二幕に絞り込んで、仁左衛門、我當、秀太郎兄弟が指導している。以下がその演者。

序  幕 加茂堤の場

舎人桜丸    上村折乃助
三善清行    中村翫政
斎世の君    片岡松四郎
苅屋姫     中村未輝
桜丸女房八重  上村吉太朗
仕丁      片岡松十郎
同       片岡佑次郎
同       片岡當史弥
同       中村光

二幕目 佐太村賀の祝の場

舎人桜丸    片岡千壽
舎人松王丸   片岡松太朗
舎人梅王丸   片岡當吉郎
松王丸千代   片岡當史弥
桜丸女房八重  片岡りき彌
梅王丸女房春  中村光
百姓十作    片岡松十郎
白太夫     中村鴈大

名前からして上方歌舞伎の核になっている松嶋屋、成駒屋のどなたの弟子なのか一目瞭然。芸風にはそう違いがなさそうだけれど、ざっとした印象では松嶋屋の方があっさり、スッキリ目、成駒屋の方はねっとり感がある。立ち、女方両方を演じている役者も何人かはいる。序幕では女方三人ともに化粧にもう一工夫いるように見えた。江戸の若女形たちがあれほど美人に変身しているのだから、彼らにが美女になるのはそう難しいことではないと思うんですが。

演技もやはり硬い。滑らかさがあまりないので、つい心配になって落ち着かない。その中で気を吐いていたのは悪役の中村翫政。翫雀さんのお弟子さんなのだろうけど、芸風も似ていた。悪でありながら、滑稽味を醸し出していた。よかった。

第二幕の方は序幕より上級者を揃えた印象。ハラハラせずに見ていられた。その中でも片岡千壽の桜丸がよかったけど、どちらかというと彼は松王丸の方がニンに合っていたように感じた。女房たちは序幕の女方と違い、とてもこなれていて自然でよかった。さりげない身のこなし、シナの作り方等、なかなかのものだった。それと、白太夫の中村鴈大が難しい年寄りの役を頑張っていた。この人もおそらく成駒屋。

文楽劇場は八割方入っていたので、ちょっと驚いた。上方歌舞伎を存続させるためにで研修生を育てるという意識が強いのだと感じた。その思いが動員数に反映されていたのだろう。でも何人かをのぞき、研修生にあまり覇気がないように感じられた。何が何でも江戸に優ってやるという気概って必要でしょ?まして江戸では将来有望な若手女形が続出なんですから。指導者をねじ伏せるぐらいのパワーを出して欲しい。文楽では若手がめきめき腕をあげているようだから、それに倣ってほしい。