yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ギリシャ危機と道化芝居

ギリシャ演劇といえばtragedyだけど、今回の騒動はまるでcomedyそれもイタリアのコメディア・デラルテのようだった。キャラクターが決まっているのが特徴で、旅回り芝居が発祥だという。ミラノでは残念ながら観ることができなかったが、ずっと以前にケンブリッジ(MA, USA)の Brattle Theatreで観たことがある。外見でどういうキャラなのかが一目瞭然。台詞というより、その仕草で可笑し味を出していた。芝居内容は典型的ドタバタ劇。ギリシャのチプラス首相を「主役」とする「芝居」は昨日のEU首脳会議で一段落した形にはなったが、今後もまだまだ「舞台」は続きそう。

コメディア・デラルテとは登場人物が決まった類型的役割を担っている芝居。登場人物のほとんどが「fool」。中心になるのがアルレキーノ(ハーレキン)。軽業師でペテン師だけど、決定的なワルではない。そのアルレキーノにイル・カピターノ、イル・ドットーレ、パンタローネ、ブリゲッラ、コロンビーナといった人物が絡む。

パンタローネは金持ちで、欲深で、色欲旺盛な老商人。イル・カピターノは地方の名士。イル・ドットーレは「博士、医者」の意。初老の男。博学で饒舌だが、その発言はほとんど意味を成さない。ザンニは召使いキャラクター。大雑把にいうと、アルレキーノとその恋人、コロンビーナ、そしてザンニとが組んで、威光を鼻にかけるパンタローネ、イル・カピターノ、イル・ドットーレをさんざん虚仮にするというのがおおまかな筋。

アルレキーノがチプラス首相だとすると、対抗するパンタローネメルケル首相?彼女は憤慨するでしょうね。アルレキーノの恋人、コロンビーナは誰になるんだろう。フランスのオランド大統領?イル・カピターノ、イル・ドットーレはドイツ側についてギリシャに厳しい条件をつけたフィンランド、オランダの財務大臣、ユンケル欧州委員長、トゥスク欧州大統領などがくるんだろうか。この辺りは疎いのでよく分からないけど。密室会議だから、その役割が公開されることはないんでしょうね。ドイツ的な価値観とギリシャのそれとが真っ向からぶつかったことは間違いない。それに欧州の首脳たちがそれぞれの役割で関わったのはまちがいない。そんな暢気なことを言っていたら、それぞれの国の人たちは怒るでしょうけど。ユーモアのセンスをもったメディアがあるはずだと思って「Tsipras」と「clown」で検索をかけたらあった、あった!
「Greek PM Tsipras: Hero or Clown? Cartoonists Can’t Decide」という戯画が。おまけに面白い記事に行き当たった。英国の The Guardianのもの。「How Tsipras and Varoufakis turned Greek tragedy into Twitter triumph」リンクしておく。

チプラスと彼の盟友の財務大臣が(ギリシャ)悲劇をツイッターの勝利へと変えたというもの。いままでギリシャツイッターでこれほど盛り上がることはなかったものが、彼らと債権者との押したり引いたりのドラマをゲームのようにツイッター上で展開させ、大いに盛り上がっているというもの。彼ら二人のそれとユンケル欧州委員長、スタッブフィンランド財務相のものとを対比させて、面白い。キャラの違いが歴然。ツイッターが盛り上がるのも当然。