yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

オペラ『皇帝の花嫁 The Tsar's Bride (Carskaja Nevesta) @ミラノ・スカラ座3月11日

リムスキー・コルサコフ作曲。ロシア的というより、どちらかというと西欧的な曲調。しかも帝政ロシア[イワン雷帝期]ではなく、現代という設定。幕が開くまではスクリーンに帝政ロシアの人たちの行き交う姿が映しだされていた。このスクリーン、オペラの中でも何度も効果的に使われていた。スクリーンが上に上がると、そこには「テレビ局で録画中」の光景が。左右に壁で仕切られていて(壁には行き来できる扉がついている)。右に録画室では20人ほどがコンピュータに向かって操作中。奥では「皇帝の花嫁」(?)を録画中。左側に控室。テーブル上には簡単な食事が用意されている。

そこにまたもやスクリーンが降りてくる。出演者の名前と顔(それも前からと横からの肖像写真つき)が「エクスプローラー上」という体裁で示される。これには観客も唖然。斬新!笑いが起きていた。これでいっぺんにほっとした雰囲気が漂った。

もっと可笑しかったのは、「皇帝」の顔をまるで犯罪の犯人の似顔絵を作るように、部分を入れ替えながら「造り上げる」ところ。この時だけ、字幕が英語でも表示された。イワン雷帝って、英語で「Ivan, the terrible」っていうんですね。「ばか殿」で、実在そのものが危ういという解説に失笑が起きていた。

オペラの言語はロシア語。私の大学での第二言語はロシア語だったのだけど、もう記憶には残らない過去。で、全く分からず。今回もバルコニー席で、同席の5人は全員がロシア系と思われる年配のカップルたち。ロシア語で話していた。一見して上流階級の人。2階バルコニーの1番だったのだが、特別なところなのかもしれない。私は完全に浮いていた。

指揮は今年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで指揮をしたダニエル・バレンボイム。私の席から近接だったので、表情までよく見えた。ほとんど座っての指揮。少々、お疲れの様子。

しかし、この演出はすごかった。舞台を二つあるいは三つに仕切り、しかも舞台が回る!それらを登場人物が縦横に行き来しながら演じて行く。歌舞伎の回り舞台を思わせた。また第二幕では左右のみならず、前後にも舞台を仕切るという手法(壁とスクリーンを使っていた)で、これにも舌を巻いた。先日の『イル・トロバトーレ』とは180度も違う手法に感嘆。やっぱりスカラ座はすごい!われながらこの単純さにあきれます。

時代設定は「現代」ということになっていて、第一幕はテレビ局での「録画シーン」という設定。前述したように舞台は左右に仕切ってあり、右が録画室、そこではコンピュータが何台も置かれたコンピュータの前で人が操作している。左の控室では中年の男女の痴話喧嘩中。この男性歌手はきれいなバリトン。女性も負けないほど巧いメゾ。まるでフランス(イタリア)人の男女の生々しい別れ話をみているよう。

第二幕では女学生二人とその付添とおもわれる中年女性。この女学生の一人が「花嫁」になるのだ。最近のオペラ歌手は映画俳優並みの美貌になっていることが良くわかった。女学生二人ともとびきり美人。ヒロインの方はオルガ・ペレチャッコ(Olga Peretyatko)というソプラノ、その友達はメゾでどちらも巧い。聞き惚れてしまった。今ヒロイン Marfa役の歌手をネット検索にかけたら、youtubeサイトが出てきたのでリンクしておく。
www.youtube.com


詳しいレポは帰国してからにするが、ぜひともまた見たいオペラの一つになった。それにしても英語字幕がないのがつらかった。なんとかしてくださいよ、スカラ座さん。

この日も第二幕後に劇場をあとにした。それでもホテルに帰ったのは11時近かった。イタリア時間には永遠に慣れそうにもない。

以下は英語サイトに出ていた情報。

New Production
In coproduction with Staatsoper Unter den Linden, Berlin



Conductor 指揮

 Daniel Barenboim
Staging and sets セット
 Dmitri Tcherniakov
Costumes 衣裳
 Elena Zilseva
Lights 照明
 Gleb Filschtinsky

<CAST 配役>
Vasilij Stepanovič Sobakin
 Anatoly Kotscherga
Marfa
 Olga Peretyatko
Grigorij Grigor'evič Griaznoj
 Johannes Martin Kränzle
Maljuta Skuratov
 Tobias Schabel
Ivan Sergeevich Lykov
 Pavel Černoch
Ljubaša
 Marina Prudenskaya
Elisej Bomelij
 Stephan Rügamer
Domna Ivanovna Saburova
 Anna Tomowa-Sintow
Dunjaša
 Anna Lapkovskaja
Petrovna
 Carola Höhn